メディア掲載のお知らせです。
弊社代表の江森が「日本の印刷」に寄稿しています。
ぜひご覧くださいませ。
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Z世代に向きあって
神奈川県工組理事長 江森 克治
少子化の影響により若者の採用や定着に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。特に “Z世代”と言われる20代前半の若者となると、なんだか人生の価値観も私たちとはまったく違うようで戸惑うこともしばしばです。
Z世代という呼び方は、X世代、Y世代の次ということからその名が付けられていますが、私自身はこの呼び方の発端となったX世代前半です。X世代はベビーブーマーの次の世代にあたり、カナダの作家ダグラス・クープランドのベストセラー小説から生まれたとされていますが、「X」には「得体のしれない」とか「謎の」という含意があると思われます。日本では1965年生まれが “新人類”と呼ばれ、当時の大人から「理解できない」とあきれられていた世代で、アメリカの GenerationXと符合します。
当社ではインターンシップを積極的に受け入れており、毎年10名前後の高校生、専門学校生、大学生のZ世代がたくさん研修に来ます。彼らの行動を観察していると、まずコミュニケーションの取り方が私たちとは明らかに違います。今の25歳以下ぐらいの人たちは、小学生の頃からスマホを使っている“スマホネイティブ世代”です。スマホによるコミュニケーションは、リアルタイムのようでいて実はタイムラグがあるので、相手のメッセージを受け取ってから考えたり、情報収集したりする時間があります。その影響かどうかはわかりませんが、Z世代のコミュニケーションは良く言えば「理性的」、悪く言えば「うわべ」な印象を受けます。揃いも揃って模範解答みたいなことを言うのでみんな「いい子」に見えますが、本当はどうかわかりません。極端に失敗を怖がるというのも彼らの特徴です。
そういうZ世代の特徴を踏まえ、よりリアルな社会人体験をしてもらうために、当社のインターシシップではわざと罠を仕掛けて失敗させるようにしています。最近の若者は褒めて育てろと世間では言われます。もちろん怒鳴ったり殴ったりというのは厳禁なのですが、彼らは褒められることに慣れているので、褒めるだけでは不十分です。そこで意地悪なようですが一度失敗させます。Z 世代は失敗するとうろたえます。この世の終わりみたいな顔をします。そこで「失敗は悪くない」「悪いのは失敗を恐れて挑戦しないこと」を教え、なぜ失敗したのかを考えさせ、再度挑戦して成功したところで褒めちぎります。最終日には晴れ晴れとした顔で卒業していく若者たちを見送りながら、「君に幸あれ」と祈り続けています。