スープがおいしいブラウンマルチクイック5

 週末限定とはいえ、れっきとした“家事”として料理をするようになって、かれこれ10年近く。我ながら腕をあげたものよなどと、自画自賛も甚だしいわけであるが、料理を始めて間もない頃、とある料理番組にイタリアあたりの主婦が登場し、「ブレンダー」という調理器具を使ってスープを作っているのを目撃した。ブレンダーとは、ミキサーの刃の部分だけを取り出して、その上に棒状の持ち手をつけたような調理家電で、食材をミキサーの容器に移すことなく、鍋の中の食材を直接つぶすことができるという代物。「ハンディーフードプレッッサー」とも言うらしい。『じっくり時間をかけてミックスするのはマンマから家族への愛情の証…』とかなんとか囁きかけるナレーションにすっかりその気になってしまい、近所のヤマダ電機に急行して購入したのが「ブラウンマルチクイック5」。ブレンダーといえば、スイスのバーミックスが有名という店員さんの説明だったが、泡立て器と、みじん切りができる“チョッパー”がセットになっているところが魅力的で、髭剃りメーカーの製品で食べ物を作ることに若干躊躇しながらも、それに決めた。

 包丁使いが覚束ない当時はみじん切りにも重宝し、チョッパーを使って自家製のサルサディップを作ったり、付属のレシピに載っていたマヨネーズに挑戦したりと、ブレンダーライフを存分に満喫したものだ。ところが料理の腕が上がってくると、みじん切りは包丁で切った方が大きさも揃うし、そもそもブレンダーを戸棚から出したり洗ったりという手間を考えると、自分で切ってしまった方が断然早い。マヨネーズは自分で作ってみるとあまりの油の量に驚き、わざわざ健康を害してまで食べるものでもないと思えてくる。

 いまブレンダーで作るのはもっぱらスープ。日本では“ポタージュ”と呼ばれる素材が跡形もなくなる裏ごし系のスープ。裏ごしの代わりにブレンダーを使う。今回はいろいろ野菜のポタージュ。荒くつぶしたブロッコリーを添えて。(江森克治)

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