組織に属さず個人で働くいわゆる「フリーランス」の労働環境を保護することを目的とした「フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が昨年11月1日施行され、フリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等が義務付けられました。
自身が持つ知識やスキルを活用しながら個人で事業を営むフリーランスは、コロナ禍における働き方の変化、テレワークインフラの普及なども追い風となって近年増加傾向にありますが、一方でフリーランスと発注者との間でさまざまなトラブルが起こることが懸念されていました。
フリーランス新法におけるフリーランスは法律上の定義では「特定受託事業者」とされ、発注事業者が業務委託を依頼する相手方かつ、従業員を雇わない事業者のことです。このフリーランスに対して、発注側がフリーランスか否か、契約期間が一定以上の期間になるかどうかで、発注側に課せられる保護義務が3種類に分類されます。
① フリーランスがフリーランスに発注するケース
このケースでは、発注側のフリーランスに対して、取引条件を書面等で明示することが求められます。取引条件とは、業務内容、報酬額、支払期日など一般的に契約書に記載されるような内容のことであり、これらを書面や電子メールなどで事前に明示する必要があります。
② 従業員を雇用している組織がフリーランスにスポットで発注するケース
このケースでは①の内容に加えて、60日以内の支払、募集情報の的確表示、フリーランスへのハラスメント対策が追加されます。
③ 従業員を雇用している組織がフリーランスに一定期間以上継続して発注するケース
このケースでは①②に加えて、支払拒否や返品など法律に定められた7つの禁止事項の遵守、子育て・介護への配慮、中途解約時の事前予告義務が追加されます。
この法律には発注側の規模の制限はなく、すべての取引に適用されますので、フリーランスへの発注の際には注意が必要です。新法対応の発注書や取引確認書等のフォーマットを事前に用意しておくと良いでしょう。詳しくは厚生労働省のサイトをご確認ください。