今日、気分を左右したりイメージの確立を図ったり、色々なことに利用されている「色」ですが、
日本人が初めて「色」を意識したのはいつ頃なのでしょうか。
それは飛鳥時代、聖徳太子が制定した冠位十二階なのではないかと言われています。
冠位十二階とは、日本で初めての冠位・位階であり、朝廷に仕える役人の位を12に分け、
立場に応じて色分けされた冠をつけた仕組みのことです。
当時の一般庶民は特に染付されていない、天然素材を織った服を着ていたと考えられています。
ロハスでほっこり優しい色が溢れていたとも言えますが、少し物足りなさを感じます。
そんな人びとにカラフル(?)な冠はとても美しく見えただろうと思います。
冠位十二階は生まれた身分に関係なく個人の能力によって役人に取立てようとした仕組みでもありました。
庶民にとって、新しい仕事を得るチャンスであり、「色」を身につけるチャンスでもあったと考えられます。
これによって生まれて初めて色のついたものを身につけた人もいたことでしょう。
学校やカフェ、レストランなど、現代でも素敵な制服は人々を惹きつけますが、
当時の人々も色のついた冠にすごく憧れたのではと思います。
この時代の色はまだ種類も少なく、全体的にグレートーンの渋い和の色調でした。
柄は意外と豊富にあったとされ、貴族や階級の高い人々は結構おしゃれを楽しんでいたことがうかがえます。
当時の柄は受け継がれ、今日でも日本の伝統紋様として我々の近くにあります。
庶民が色柄ものの衣服を身につけられるようになったのは平安時代以降とも言われています。
冠位十二階が制定されてから約200年後のことになります。