CSR担当者のお悩み解決シリーズ②
社員が非協力的!社員をCSRに巻き込む方法は?
CSR担当者のお悩みナンバーワンといえばこれです。仕事が忙しいなどいろいろな理由をつけて社会貢献活動から逃げる社員が続出。一部の社員だけがやるのでは意味がないのに、いくら言ってもわかってもらえないという悩みは、CSR担当になったら誰もが経験することではないでしょうか。
なぜCSR担当者以外の社員はCSRに非協力的なのでしょう?答えは簡単「自分の仕事だと思っていないから」です。考えてみればこれはごく当たり前のことで、同じ部署の人の仕事ならともかく、別の部署の人の仕事を積極的に手伝おうとする人などまずいないといって良いでしょう。ある程度大きな組織になると、CSRに「担当者」が付いてしまうので、他の社員から見るとCSRは「あの人の仕事」となってしまいます。しかし担当を付けないことには取り組み自体が一向に進みませんので、担当者は置かざるを得ないというジレンマの中で、どうやったら社員の参加を促すことができるか考えてみたいと思います。
そもそもCSRの目的とはCSR担当者のお悩み解決シリーズ①でも書いたように、事業活動によって社会に与えるマイナスを減らし、プラスを増やすこと。それはつまり企業の成長と社会の成長が同じベクトルを向くようにアジャストする作業であり、企業の成長戦略そのものと言っても過言ではありません。まず、そういうことを社員の皆さんが理解しているか?ということが問題になります。
多くの一般社員の人たちはCSRを単なるボランティア(=他人の幸せへの奉仕)ぐらいにしか考えていないので、「私は自分のことで精一杯で申し訳ないがそれどころではない」という考えに至ります。ですから、まずはCSRとは他人の幸せに奉仕するだけではなく、自分の幸せのためでもあるということを理解してもらう必要があります。
ある学術研究によると、社員の社会貢献活動への参加度と、会社が行っている社会貢献活動への共感度には相関があることがわかっています。社員がCSRに協力的になるには、会社のCSRへの姿勢に共感していることが必要で、それはつまりCSRが自分の幸せにも繋がっているということを社員が理解していることが必要ということです。
CSRが自分の幸せにも繋がっていることを理解してもらうには、なんといっても経営トップからCSRが企業の成長にとって重要なファクターであることを、明確なメッセージとして発信してもらうことが重要です。しかしこれもなかなか難しい場合が多いのが現実ですので、現場レベルでできることとして、自分の仕事と社会の課題が重なっている部分にフォーカスした取り組みを企画してみてはどうでしょう。
例えば自動車の部品製造のような業種の場合、本業に関係する社会課題に交通事故があります。そこで、自社製品の特性や性能についての解説を組み入れた安全運転教室などを実施することで、自社製品のPRと社会貢献の両方を実現することができます。交通事故の確率の高い高齢者や若者など、対象者によって講座の内容を変えると消費者にとっても興味深いものとなるでしょう。
こうしたイベントには様々な関係部署の社員が関わることができるので、多くの社員にCSRの有効性について体験してもらう良い機会となります。
このように本業と社会課題の重なりを意識して、CSRをマネジメントしてみると、会社の社会貢献活動への共感度が高まり、CSRへの理解も深まることになります。