Scopeとは? 温室効果ガス・CO2排出量について

近年SDGsをはじめ、サステナビリティへの関心が高まっています。サステナビリティという単語から連想される第一候補と言えるのが、環境問題でしょう。そして環境問題と言えば、筆頭とも言えるのが温室効果ガスやCO2が挙げられます。
CO2排出削減、ということは至る所で言われており、CO2排出削減のための節電というのもよく行われていますし、実際にやっているという方も大勢いらっしゃることでしょう。本日は温室効果ガス・CO2をテーマに、排出量算定に用いられるScope(スコープ)についてご紹介します。

温室効果ガス・CO2について

温室効果ガス・CO2について、色々考えていく前に、そもそも温室効果ガスと言ったりCO2と言ったり、一体何が違うんだと思われる方もいるかもしれません。まずはそこからご紹介します。

詳しい理屈は難しいので省略しますが、温室効果ガスとは、熱を吸収して地球の温度を高める「音質効果」をもたらす気体のことを指します。よって温室効果ガスが増えることによって、地球の温度が高くなり地球温暖化に繋がるから問題だ、ということになります。
温室効果ガスは、「温室効果ガス」という名前の気体がある訳ではなく、温室効果をもたらす気体全般を指した総称です。そして温室効果ガスの代表例が二酸化炭素(CO2)です。なんと温室効果ガス排出量のうち、約90%がCO2となっています。そのため温室効果ガスの排出削減はCO2の排出削減と実質イコールと言えます。(出典:環境省『2021年度(令和3年度)温室効果ガス排出量(確報値)について』)
ちなみにCO2以外には、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)などがあります。
また温室効果ガスは、英語でGreen House Gasと訳されるのですが、この頭文字をとってGHGと呼ばれることもあります。色々な場所でGHGといきなり登場したりするので、覚えておくといいでしょう。

Scope(スコープ)について

Scopeの概要

以上のように、地球温暖化に寄与する温室効果ガス・CO2の排出削減が、サステナビリティという社会の流れから要請されているわけですが、ただいきなり削減してくださいと言われても、どうすればいいのかよくわかりません。なんとなく節電すれば削減できそうなことはわかりますが、それでも節電することによってどれだけ排出量が削減されているのか、本当に意味があるのかは、ただ節電するだけではわかりません。

そこで、まず現状どの程度温室効果ガスが排出されているのか、その実態を把握することが重要です。また当然電気の使用以外にも温室効果ガスが発生するポイントは存在するため、それらの抽出作業も重要です。これらの音質効果ガスの排出状況について、特に企業に対し、事業活動のすべての過程で発生する温室効果ガスを算定するための枠組みとして、Scope(スコープ)というものが存在します。Scopeは、GHGプロトコルという国際的な枠組みで示されており、この手法に基づいて算定することにより国際標準の算定が行えます。

だいぶ話が長くなってしまいましたが、要するに、排出量を測れないと取り組みの効果も証明できないので、排出量を測りましょう。そのフォーマットがScopeだ、ということです。

企業の事業活動は非常に多岐にわたるケースもあるため、Scopeでは排出分野別に分類が分けられています。大項目としては3つに分けられており、Scope1、Scope2、Scope3と表現されます。

Scope1について

それでは各Scopeの分類について見てみましょう。まずはScope1についてです。
Scope1は、「事業者による直接排出」、と定義されています。「直接排出」とあるため、事業者が実際に物質として作り出したCO2が算定対象になります。代表的なものとしては、燃料を燃やした時の発生です。ものを燃やせば当然CO2が発生します。まさに直接CO2という物質を作り出しているということになります。
燃料を燃やすとなると工場などでのシーンをイメージしがちですが、社用車から出る排気ガスも、ガソリンを燃やしておりCO2が含まれますので、これも直接排出としてScope1にカウントされます。むしろガソリン使用がScope1の主たる排出である企業もかなり多くあるのではないでしょうか。

Scope2について

続いてScope2についてです。Scope2は「事業者による間接排出」と定義されます。Scope2については、基本的にはほぼ電気の使用に伴うCO2排出と覚えてしまって結構です。
発電所で電気を発電する際に、CO2が発生するわけですが、これはScope1のように事業者が直接発生させているわけではなく、あくまで燃やしているのは電気事業者です。しかし生み出された電気は事業者が使用しているため、使用する電気の発電時のCO2排出は、間接排出としてScope2にカウントされます。
なお、Scope2は「ほぼ」電気と書きましたが、一部蒸気などの熱供給もScope2に含まれるため、該当する場合は算定に含めるようにしましょう。

Scope3

最後にScope3です。Scope3は「Scope1・Scope2以外の間接排出」です。そしてまた排出量算定において、とりわけ困難が伴うのもこのScope3です。
そもそもScopeは、企業の事業活動のすべてにおける排出を対象としています。この「事業活動のすべて」というのがポイントです。

企業が事業を行うにあたり、例えば自動車メーカーを想定しましょう。自動車を製造するために機械を動かす。その電力を削減するために、最新式の省エネの機械に入れ替えることで電気使用量を削減できたとしましょう。これはひとつの環境の取り組みとして成功と言えます。
しかし、もし仮にこの自動車メーカーの自動車の燃費が大変悪く、大量のガソリンを必要とする自動車だった場合に、この自動車メーカーは本当に環境に配慮できていると言えるでしょうか。もし先ほどの機械の入れ替えによる省エネよりも、燃費の悪さからくるCO2排出の方がボリュームが大きいのならば、環境配慮としては不十分ということになるのではないでしょうか。

このように「事業活動のすべて」を考えるにあたっては、製造する段階のみならずその製品が使用される段階についても考慮する必要があります。さらに部品の製造や、その部品の原材料の採掘段階にいたるまで、「事業活動のすべて」として見るためには考慮する必要があります。

このような「事業活動のすべて」に該当する、原材料から部品、製造、販売、使用、そして廃棄にいたるまで、製品・サービスのライフサイクルすべてを示すものを、「サプライチェーン」と呼びます。そしてScope3は、サプライチェーンのうちの、Scope1・Scope2以外すべてを対象とするのです。
そのためScope3では他社での活動も算定対象となり、それゆえ実数の把握が大変困難が伴います。またその範囲も膨大であるため、Scope3は種類別に15個のカテゴリーにさらに細かく分かれています。各カテゴリーの具体的な内容については、環境省の「排出量算定に関するガイドライン」を参照いただくと、詳細を確認できます。ただし内容が比較的高度なので、排出する段階で確認いただくと理解しやすいと思います。

Scope3のカテゴリー一覧

1.購⼊した製品・サービス9.輸送、配送(下流)
2.資本財10.販売した製品の加⼯
3.Scope1,2に含まれない 燃料及びエネルギー活動11.販売した製品の使⽤
4.輸送、配送(上流)12.販売した製品の廃棄
5.事業から出る廃棄物13.リース資産(下流)
6.出張14.フランチャイズ
7.雇⽤者の通勤15.投資
8.リース資産(上流)その他(任意)

まとめ

以上、温室効果ガス・CO2の排出量算定の枠組みである、Scopeについてご紹介いたしました。
今までCO2の排出量を意識したことがない場合には、とてつもなく大変な作業に感じることでしょう。しかしサステナビリティが当たり前になる時代は、すぐそこまで迫っています。社会の流れに取り残されないためにも、ぜひできるところからでも、Scope算定・排出削減の取り組みを進めてみてください。

また、ココラボではサステナビリティに関するさまざまなサポートを行っています。取り組みについてのご質問等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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