日本の伝統色と大別される色たちがあります。
これは日本特有の文化に基づいた色彩、
また歴史上の資料などに出典がある伝統的な色名称のことで多種多様の色があり、
DICグラフィックス株式会社が再現した色見本帳なども有名です。
その日本の伝統色の中に甕覗(かめのぞき)色というのがあります。
これは藍染の最も淡い色を示すもので、白に近いごく薄い藍色、
やや緑がかっている気もするやわらかく淡い色です。
この印象的な色名の由来にはいくつかの説があります。
有名なものだと、藍染めをするときに、「藍甕をちょっと覗き込むくらいの短い時間漬けて染めた色」という説。
もうひとつ有名なのが「甕に張られた水に空の青色が映ったときの色」というものです。
この色は、色という不確かな存在の中でも特に繊細で儚く、
何か捉えどころのない、ふんわりしたものを感じさせてくれます。
「色というより匂いと呼んだ方がふさわしい」と称されたこともありました。
そんな消えてしまいそうな淡い青にも名前をつけた心の豊かさ、
日本人の細やかな感性や暮らし、季節ごとの空の色など、
情景が目に浮かぶような色名と相まってイマジネーションを掻き立てられる色です。
このように日本の伝統色には印象的な面白い名称がついています。
例えばお正月休みの間などに調べてみるのはいかがでしょうか。
素敵な色との出会いがあり、思いのほか楽しく過ごせると思います。