毎日ラジオ、深夜にYouTube、週末レコード、たまにフェス

4月1日/金曜日/8時

昨夜からの大雨がやんだ朝、デスクに大きめの封筒が届いていた。送り主は小学校の先生。開封すると生徒一人ひとりからのお礼カードが入っていた。例年いくつかの学校でキャリア教育のお手伝いをしており、3月中旬頃からこのような嬉しい知らせが届く。「将来デザインの仕事がしたい」「自分で作ったポスターが街に貼ってあって嬉しかった」など、こちらが元気をもらう言葉ばかり。「応援する人になれて、楽しかった」お!彼か。あなたは何をしている人ですか、なんて、唐突に聞いてくるちょっとユニークな彼。グループワークでのポスター作りは全くやる気がなく、それなら、と、彼には作っているみんなを応援する任務を与えた。アイデアに煮詰まっていたら応援、教室がうるさくなったら応援、先生が下を向いていたら応援、みたいに。
全てのカードを読み終え、なぜか、さらば青春の光のコント、“予備校”を思い出した。そうか、鼓舞やこぶ!彼にあなたは何をしている人って聞かれた時の答えにモヤモヤしていたけれど、これからは鼓舞する人だよって言おう。ここ数ヶ月のモヤが取れて一気に澄み切った。

“紙ひこうきをとばし続けることもあるさ”
曲:WEATHER REPORT(宇宙 日本 世田谷) フィッシュマンズ

4 月14 日/木曜日/ 17 時

朝から鳴り響く携帯電話。納品後の誤字発覚、材料値上げ、特殊本の制作相談、撮影の入り時間大幅変更、新規プロジェクトへのお誘い…。こんな日は時間の感覚が薄れてしまい、サービスエリアの一角、開けた緑地でふと見上げた空はすでに茜色。グイーっと全身を伸ばし、焦点を合わせずに空を見続ける。ほんの30秒ほど頭を空っぽにしてから、売店でアイスコーヒーを買い、車に戻ってPCを開く。画面左上にピコピコとメールが積み上げられる。件名に【お礼・ご挨拶】を見つけ、恐る恐る開封する。この時期、一定数の方が異動となるため、こんなメールを少なからずいただく。「心残りが大きく、私も動揺しております」ああ、やはり。「私にとりましても楽しみにしていた企画なので、本当に残念でなりません」と読み上げて、PCをたたむ。ヒットチューンをループするFMを消し、ハンドルを抱きかかえて目を閉じる。思い出すのは、いろんな壁を破って一緒に邁進した去年のこと。あなただから頑張れたのですよーって嘆く。官と民。近くて遠くて、それもまた実は甘美なのでは、と自分を諭す夕暮れ。

“つつがなく通り過ぐ、   こぞの月日も夜空に溶けて”
曲:すべからく通り雨(グソクムズ) グソクムズ

(竹見正一)

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