定番の白や薄いベージュ、それから色とりどりの加工紙。
現代ではいろいろな種類や色の紙が簡単に手に入ります。
紙は技術や文化の発展に深く関係し、
紙の発展は人類の発展そのものと言っても過言ではなく、
古代より素材や色などの研究がなされてきました。
磁青紙(じせいし)をご存知でしょうか。
濃い藍色に染められた伝統的な加工紙で、1,000年以上の歴史がある紙です。
写経や書道用などとして現代でも使用されています。
磁青紙は特別な経典を写し取るために使われ始めたとされています。
藍で深く染められた濃い青色の紙に、金や銀の石を砕いて練った泥(泥絵の具)で書かれた経典。
この色の組み合わせは非常によく調和しています。
美しく荘厳な雰囲気で文字が浮かび上がったことと思います。
神々しさすら感じるこの色合いに、昔の人も夢中になったことでしょう。
しかも、この色の組み合わせはMUD(メディア・ユニバーサル・デザイン)の考え方にも通じます。
日本で最も古い製紙は702年頃、現代の岐阜県などで漉かれたものとされています。
これは日本最初の本格的な法律「大宝律令」のために作られたもので、
戸籍用紙というかたちで正倉院に保管されているそうです。
当時の紙は麻などが主成分で、ごく淡い黄白色から生成り色でした。
虫食いを防ぐために香木の汁で染めた薄い黄色の紙もあったそうです。
古代より常に身近にあり続けてきた紙ですが、時代の変化により
その存在意義が改めて見直されています。
今年、ヨーロッパで大発見がありました。
地中に埋もれ密閉状態だった約700年前のトイレの遺跡から、
一冊の手帳が発掘されたとニュースになりました。
型押し革のケース入りで、10ページ綴りの手帳です。サイズはほぼ名刺サイズだそうです。
状態は極めて良好で、ラテン語で文字が書かれているのがはっきり見えると報じられました。
実はこのメモ帳、紙製ではないのです。
木製の枠の中に蝋を流し込んで作る蝋板(ワックスタブレット)とされるものでした。
ペン型の専用筆記具を使い、先の尖った方で刻印するように書き、反対側のヘラ状の先端で消します。
書いては消し、また書き、劣化が大きくなってきたら蝋全体を溶かすことで無限に再生できるものです。
同様のものがポンペイ遺跡などでも見つかっており
古代ヨーロッパを中心にメモ、計算、手紙などさまざまな用途に使われていました。
紙が大変高価な贅沢品だった時代のサステナブルなアイテムです。