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オンガクに、ありがとう

元気です。 よしだたくろう
小さいオンガクにありがとう〈後編〉

 急に肌寒くなった遠足の朝、学校へと急いで歩く。「ポッキー、箸箱に隠してんねん」隣でシミズがなんか言うとる。「お菓子100円分なんて全然足りひんし、しゃーないやろ?」そうや、お菓子。昨日タケイシが板チョコとガムを買いよったから、僕は店からぼんち揚を一袋もらってきた。あいつ、交換すんのいややとか言いよったらどうしよ、そしたらチョコ食えへんなあ。学校に着くと、みんな校庭に整列し始めとった。ささっと列に […]

風街ろまん はっぴいえんど
小さいオンガクにありがとう〈中編〉

 最後の一人になったカウンターのおっちゃんを、柔らこう帰したおばあはんが雨戸をとりに倉庫へ行った。おかんは台所へ、おとんはそろばんを弾き始める。ぼくはそうろと高い椅子から降り、台布巾でカウンターを拭く。こぼれたお酒はええけど、缶詰の汁はたまらん。一回拭いただけではとれんから、何回も布巾を洗わなあかん。乾拭きまで終わったら、おとんが見に来て「よし、ええど」と言うた。ぼくはテレビへと急ぐ。夜のヒットス […]

あの素晴らしい愛をもう一度 加藤和彦 北山修
小さいオンガクにありがとう〈前編〉

 「まあちゃん、大関とって」足が下につかないほど高い木の椅子に座っているぼくに、端っこのおっちゃんが言うてきた。ぼくの横のカウンターには5人のおっちゃんが並んでいる。ぼくが一番近くのおっちゃんに、キャップを取ってワンカップを手渡すと、リレーのバトンのように端っこに居るおっちゃんへ届けられる。おっちゃん、ガラス瓶を握るや否や、アルミのふたをクルパカッと捻り空け、底にたまるくらいの七味をふりかけ、唇を […]

Primal Scream “Sonic Flower Groove”

   長いお経が終わっても、まだまだ続くおおっさんのお説教。ご近所さんをいじりながら、爆笑の渦をつくっている。おかんのほうのおじいはんが亡くなって7週間、毎週金曜日にこの渦の中でじっとしている。悲しさが摩滅するほど、おおっさん話はくだらなく長い。ただ今日は昨日のことを思い出すと嬉しくなって、全く苦痛ではないのだ。そう、昨日のこと…  喫茶店を出て師走の大通りを東へと向かう。通り沿いの商店はどこも大 […]

Sid Vicious “My Way”

 優雅で堂々とした大きなチャペルを背にして、ぼくたちは門を出た。えっちゃんが言う「大学、やっぱりええなあ」つれてマサキが「絶対に受かりたいから、先生に嫌われんようにせなな」そしてバチオが「いやあ、綺麗なおねえさんいっぱいおるなあ」    来年通うことになるであろう、大学の見学会を終えた帰り道。時はすでに16時、軽食をとるためカフェバーへいくことになった。「歩ける距離やしこのまま川沿いを」と提案した […]

BOB MARLEY & The WAILERS ”UPRISING”

 「明日はやっと焼き肉たべられるわー」目の前でパクパクと白玉をほうばりながら、たまちゃんが忙しそうに言う。「おまえ天一くってたやん、おととい」グリーンティーの氷をカラカラと回しながら僕が返す。チャーシュー抜きでした!って言うので、大量の豚骨スープはええんかいとは突っ込まず、よく我慢できました、と話を切った。そう、今夜は送り火。街を囲む山々に灯がともる。ご先祖はんが牛に乗って天へ戻る夜。ちゃんと天に […]

PSYCHOCANDY ”THE JESUS AND MARY CHAIN”

 僕は落ち込んでいた。次の曲が夜明けのMEWだったのに、また注文が入った。仕方なく腰を上げ、店内奥にある14型テレビのスイッチを切り倉庫へ向かう。急いで一升瓶が6本入ったケースを1トントラックに積んで、助手席に飛び乗りラジオをつける。はじまった!狭く暗く冷たい車内に溢れるくぐもった音。モノラル。それでも美しいイントロに静かに感激していると、運転している父が突然切り出した。「若狭でエエ型のチヌが上が […]

AZTEC CAMERA “KNIFE”

 時は1985年、盛夏の訪れを告げる宵越しの祭りを終え、道路にも車が戻りいつもの喧噪を取り戻しつつある地方都市の午後4時。大会を前にプールでたっぷり泳いだぼくは、ガラス越しの日差しが焼けた肌をひりひりさせる窓際席で、水泳部の同級生とローストビーフバーガーを必死になって頬張っていました。ここアービーズは当時のマクドナルドやロッテリアにはなかった、《ソース調整はご自身でご自由にシステム》が新鮮で、とく […]

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紙ファイルでSDGs 「脱プラスチックで海を守るファイル。」

レジ袋が有料になったり、ストローが紙製になったりと、SDGsの取り組みとしてかなり身近になってきた”脱プラスチック”。でも企業で取り組もうと思うと、変えられるものってそんなにないなあ…と思っていませんか。
会社でも”脱プラスチック”したい!という声にお応えして、オリジナル商品「紙製クリアファイル」を開発しました。仕事中に使うプラスチック製品としては、最も使用頻度が高いもののひとつ「クリアファイル」を”脱プラスチック”してみませんか。

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