色の豆知識21 / 命を奪う色

綺麗な色は好きですか?
好きな色の服やカバンを持つとき、家に帰ってほっと一息ついた時の壁紙やソファの色
お気に入りの色は私たちの心を豊かにし、生活に彩りを与えてくれます。
人々は今日に至るまで膨大な色を作り出し、また様々な手法や材料で色再現をしてきました。
しかし、その中には毒性を帯びたものも少なくありません。

シェーレグリーンもその一つで多くの人々を死に至らしめたと言われています。
シェーレグリーンはスウェーデンの化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレが1778年に発明した
明るい緑/黄緑色の顔料です。
とても鮮やかな緑色で非常に美しく、当時の他のものより発色が良いとして大人気。
色々なものに使われました。
代表的なもので絵画や壁紙、布、本、子どものおもちゃや様々な家庭用品など。
一時は食品にも使われていたそうです。

実はシェーレグリーンはヒ素を多く含み、ヒ素中毒や心臓病、発ガン性などのリスクがあるものでした。
健康被害をもたらす危険なものでしたが、長い間知られることなく使われていました。
ナポレオンの死因は一般的には胃がんとされていますが、幽閉されていた住居の壁紙に
このシェーレグリーンが使用されていたためとする説もあります。

18世紀末から19世紀にかけてヨーロッパ中で愛用されたシェーレグリーンですが
19世紀後半になると、その有毒性が認識されるようになり、次第に使われなくなりました。
代替え品として、同じくヒ素を含みながらもより安定したパリスグリーンが使用されるようになりましたが
こちらも後に有毒性が問題となりました。
これらの顔料は印象派やヴィクトリア朝の画家達にも使用されていました。

シェーレグリーンは美しい色がもたらす喜びと、
その影に隠れた有毒性という二面性を持つ歴史的な色と言えます。
現代では有毒物を含む顔料は使用されていません。
美しくより安全で環境に優しい顔料が使用されています。
新商品開発においては、確かな安全性とその持続性が求められます。
この教訓を胸に、より安全で持続可能な未来を目指していくことが重要と考えられます。

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