脱プラ・紙製品化について 本当に意味あるの?

「脱プラ」という言葉もすっかり色々なところで目にするようになり、また生活の中で少しずつ進んでいるのだということを実感するようにもなってきました。例えばレジ袋の有償化であったり、飲食店でのストローやカトラリー類等の紙製品化であったり、私たちの生活のいたるところに脱プラの波が押し寄せてきています。

しかし、なぜプラスチックが良くないとされているのか、紙製品だったら別に問題ないのか、そもそも取り組みとして効果があるのかなど、なんとなく納得しないと感じる方もいらっしゃることでしょう。今回は、脱プラと紙製品化について考えていきたいと思います。

そもそも、なぜ脱プラなのか

わざわざレジ袋を有償化する制度を作ったり、プラ製品よりもコストのかかる紙製品に切り替えたりと、なぜそもそも脱プラという取り組みが盛んになっているのでしょうか?

プラスチックごみによるダイオキシン問題

過去を振り返ると、プラスチックごみが社会的に問題視されるようになったのは、焼却処分によるダイオキシンの発生問題が発端といえるでしょう。日本では1990年代に入った頃から広く知られるようになりました。
ダイオキシンは、一部のプラスチックを300℃~400℃で焼却した際に発生する有毒物質です。問題が明るみになった1990年代は、今より焼却炉の温度が上げることができなかったため、ダイオキシンが問題となったわけですが、その対策としてダイオキシン類対策特別措置法が1999年(平成11年)12月に制定され、現在では800℃~900℃の燃焼温度で焼却できるよう設備更新が行われ、ダイオキシンの発生は問題としてほとんど取り上げられなくなりました。

プラスチックごみの新たな問題の発見

プラスチックごみ焼却によるダイオキシンの発生問題は焼却温度により一応の収束を見ましたが、別の問題が明らかになりこれが今日でも問題となっています。それが海洋汚染の問題です。
広く世界中に知られるきっかけとなったのが、1997年に行われた太平洋横断ヨットレースに参加したとき、北太平洋上に巨大なゴミ大陸があることを報告した、海洋生物学者のチャールズ・ムーアの報告です。またこのゴミ大陸を含む、太平洋上のプラスチックごみが多く集まっている海域のことは、太平洋ゴミベルトと表現されます。それだけのプラスチックごみが海に流出し、世界中の海で漂っているのです。

海洋プラスチックごみが及ぼす影響

では海にプラスチックごみが流出することには一体どんな影響があるのか。
まず一つに、海で暮らす生物が誤って食べてしまったり、あるいは破片が刺さってしまったりなどして傷ついてしまうということが挙げられます。
また海洋プラスチックごみ、マイクロプラスチックとなって私たち人間にも悪影響を与える可能性があることも指摘されています。
一般的に利用されるプラスチックは生分解性が低く、つまり自然界で分解されることがありません。木材など、生分解性があるものに関しては、微生物の働きによって最終的には水と二酸化炭素に分解されます。
プラスチックは生分解されなくても、波や日光による劣化によって小な破片に砕かれるということは起こります。それを繰り返すことによって数ミリ程度にまで分解されマイクロプラスチックとなります。マイクロプラスチックは海の汚れや有害物質を吸着する性質があり、その濃度は海水中よりもはるかに高いことが知られています。
マイクロプラスチックも同様に海の生物が誤って口にすることになります。そしてそこに付着している有害物質が体内に蓄積され、食物連鎖の末に私たちが口にするのです。また有害物質の濃度は食物連鎖を繰り返すほど濃くなることが知られていますので、私たちが口にするころにはどれくらいの濃度になっているのか計り知れません。

脱プラの意義

プラスチックごみによって引き起こされる影響をここまで見てきました。
脱プラという取り組みが進められている背景としては、プラスチックごみの海洋流出を少しでも抑えることで、海をきれいにし人体への悪影響も少しでも減らせるようにという意図があることがわかります。
最近では生分解性プラスチックなども使われるようになってきており、その部分では前とは違った状況であるとは言えます。それでも全てが置き換わっているわけではない以上、やはりどれだけ減らせるかというのは重大な課題であることには間違いありません。

では、多くの場合脱プラの移行先として採用されている、紙製品という選択は本当に正しいのでしょうか?

紙製品は本当にエコなのか

紙=エコの誤解

脱プラの結果、代替品として紙製品がよく利用されますが、紙は本当にエコと言えるのでしょうか?
まず、プラスチックごみが及ぼすような海洋汚染という観点に関してですが、紙は木から作られているわけですから、当然生分解性があるということになります。なのでもしごみが流出したとしても、最終的に水と二酸化炭素に分解されます。もちろん生分解には時間がかかりますから、流出させていいわけではありませんが、それでもプラスチックごみよりは汚染のリスクは低いと見積もって良さそうです。

しかし、別の観点を用いた場合、一概に紙にすればいいという問題ではないことが浮き彫りになってきます。
それがエネルギー・資源の問題です。
紙製品はプラスチック製品を作るよりも、4倍ほどのエネルギーを必要とするとも言われています。さらに物流の点でも、紙はかさばるのでプラスチックよりも効率がかなり落ち、よりエネルギーを必要とします。そのため脱プラのために紙製品に切り替えるだけで全部解決とは言えないのです。

脱プラ・紙製品化の最適解は何か

では結局のところどうするのが正解なのか。これに関しては元も子もないと思われるかもしれませんが、結局のところものを使い捨てることに慣れてしまった私たちの意識を変えるということに尽きるでしょう。
脱プラにしても、もちろん置き換えられる部分は置き換えたほうがいいですが、そもそも使い捨てをやめて使い回したりリサイクルできるように分別したり、できることはたくさんあります。
プラスチックから紙に置き換えたとしても、その紙製品も使用量をなるべく減らせる努力をすれば、余分なエネルギーについてもある程度は減らすことができることになるので、どちらも達成できるということになります。
どんなに技術や科学が進歩したとしても、結局はそれをどう使うかによって、もたらされる結果も変わってきます。もし脱プラをはじめとした環境配慮の取り組みを進めたいと考えるならば、資源やエネルギーにどう使うかについても考えるべきことは言うまでもありません。

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脱プラスチックで海をきれいに!紙製クリアファイルであなたもSDGsをはじめよう!

プラスチックごみによる海洋汚染は世界中で深刻な問題と化しています。
2015年の調査では、世界中の海には1億5,000万トンものプラスチックゴミが存在しており、さらに少なくとも年間800万トンが新たに流出していると推定されています。
世界中がこの問題を深刻に捉えており、プラスチックに対する規制を求める議論も進んでいる一方、多くの企業でも脱プラに向けた取り組みは進んでおり、リサイクルペットボトルを使用する飲料メーカーや、ストローを紙製にする飲食店などは馴染み深いでしょう。
そして私たち一人ひとりも、身近なプラスチック製品を代替品に変えることで脱プラに貢献できます。たとえば毎日使っているそのクリアファイルも。

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